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秘策!コンクリート躯体における減額案を教えます!【サッシ編】

こんにちは、代表の坂本です。

先日、北海道のとある設計事務所さんから電話で問い合わせがありました。弊社のブログを読んでいただいている方で、私が書いた「入り巾木」のおさめかたについての問い合わせでした。我々のブログが北海道まで届き、少しは役に立っていると思うとやりがいがあり嬉しく思います。これからも皆さんにお役立ちいただけるブログを書いていけるように日々勉強し、探求心もって行動していきたいと思います。

弊社は小規模な工務店ですが、木造のみならず鉄骨、コンクリート造も施工できる工務店です。その中で混構造の場合はサッシをどうするか悩むことがあります。

木造住宅なら住宅用サッシ、コンクリート造住宅の場合はビル用サッシを選ばれるのが一般的だと思います。では、木造+コンクリート造の混構造の場合はどのようなサッシを選びますか。コンクリート躯体部分にはビル用サッシを木造部分には住宅用サッシを選ばれると思います。でもコンクリート部分に住宅用サッシが取付できたらどうでしょうか。そんな話をしていきたいと思います。

 

サッシは見た目ではないのです

メーカーカタログより内観写真を抜粋してみました。この二つの窓の違いはわかりますでしょうか?

 

YKK EXIMA カタログより

YKK エピソード カタログより

 

EXIMAはビル用サッシで非木造の躯体に取り付けられた滑り出し窓、エピソードは住宅用サッシで木造住宅に取り付けられた滑り出し窓です。このようにサッシは大きく分けてビル用と住宅用に分類されます。見た感じは同じようなサッシに見えますよね? でも詳しく調べてみるといろいろ違いがわかってきます。サイズ、性能、価格など同じメーカーのものでもビル用と住宅用は違うものです。住宅用サッシはサイズが定められた既製品です。ではどのような違いがあるのか次節をご覧ください。

住宅用とビル用サッシどちらを選びますか?

国内の住宅を構造別にみると地域によって割合は違いますが、約6割が木造で約4割が非木造(鉄筋・鉄骨コンクリート造や鉄骨造)というデーターがあります。そこで住宅用サッシ(一般的に木造)とビル用サッシ(非木造)はどのような違いがあるのか簡単な表にまとめました。

 

住宅用 YKK エピソード ビル用 YKK EXIMA
施工躯体 木造建物 コンクリート造、鉄骨造建物
サイズ 各サッシに規格寸法がある。

但し、WHのバランス内で特注サイズも可能。

各サッシに規格寸法がない。

WHのバランス内でフリーサイズで選定できる。

性能(サッシ種類による) 耐風圧:S-3

気密性:A-4

水密性:W-4

遮音性:住宅性能表示 音環境 等級3,2

断熱性:ガラスなどの仕様による。下記カタログ参照

 

YKKカタログより:

https://www.ykkap.co.jp/products/window/apsword/merit/

 

耐風圧:S-4~7

気密性:A-4

水密性:W-4~5

遮音性:T-1~3

断熱性:ガラスなどの仕様による。下記カタログ参照

 

YKKカタログより:

https://www.ykkap.co.jp/search-b/search/windoor/gaiyou/e_31_prj.html

 

価格 エピソード 引き違い窓

W1900*H1830 特寸

本体    定価 ¥79,700

複層ガラス 定価 ¥39,800

取付は大工工事

EXIMA31 引き違い窓

W1900*H1825

本体    定価 ¥177,000

複層ガラス 定価 ¥100,000

取付はサッシ工事

 

比較表からわかるように、耐風圧はビル用が優れているのがわかります。これは一般的に建物階数が高くなるにつれて耐風圧を上げる必要があるためです。住宅においては3階建てまでの耐風圧があれば十分。価格についてはビル用サッシのほうが約2.5倍となり、これは耐風圧にも関係しておりサッシ本体のアルミ型材厚みの違いが関係しているためです。

コンクリート造の住宅が木造住宅に比べて割高にあるのはコンクリート躯体工事に費用がかかることはおわかりかと思います。そしてサッシを比べてもビル用サッシが約2.5倍の費用がかかりますので一般的に「コンクリート住宅は高い!」と言われる由縁ではないかと思います。

住宅用サッシを非木造住宅に取り付けできないものか検証してみます

「コンクリート造部分に住宅用のサッシは取付できないものか?」とメーカーに問い合わせしてみるとおそらく不可能、又は施工会社にご相談ください、との返答が返ってくると思います。

そこで住宅用サッシとビル用サッシの一般的なおさまりから、住宅用サッシをコンクリート造に取り付けできないものか、それぞれの視点から説明していきたいと思います。

 

住宅用サッシ YKKエピソード 滑り出し窓 納まり参考図

住宅用サッシ YKKエピソード 滑り出し窓 型材詳細参考図

住宅用半外付けサッシの納まり図です。木造躯体部分に所定の開口下地を設けて、サッシ耳部分を外からはめ込みビス固定しているのがわかります。住宅用サッシは木下地があれば簡単にビス固定ができる商品です。

 

ビル用サッシ YKK EXIMA 滑り出し窓 納まり参考図

ビル用サッシ YKK EXIMA 滑り出し窓 型材詳細参考図

 

ビル用サッシの取付はサッシ業者が行うため、コンクリート躯体に先に埋められたアンカーに溶接固定しているのがわかります。ビル用サッシの場合、溶接部分が今後錆びてこないように左官工事でトロ詰め作業を行う必要があります。このようにサッシ取付工事、左官工事と多職種が関わるビル用サッシは施工面でも住宅用に比べて手間のかかる商品なのがわかります。

型材詳細をみてわかるように住宅用サッシには耳が付いてありそこにビス固定できるようになっています。コンクリート躯体に住宅用サッシを採用したい時は、この耳部分が固定できるよう下地を設けてあげればいいのです。
下地を設けると大工工事でサッシを取付することができます。

この方法で弊社はコンクリート躯体に住宅用サッシを取付し、コストダウンを行った物件があります。

 

VICO施工 S様邸 コンクリート躯体に住宅サッシを取付した事例

当該住戸では半地下コンクリート躯体部分のサッシ6カ所を住宅用サッシでおさめました。詳しくはまた次回にご紹介します。

おわりに

今回はコンクリート躯体における減額案【サッシ編】のお話をさせていただきました。弊社が施工した半地下コンクリート躯体部分のサッシ6カ所を住宅用サッシでおさめた物件は15万円の減額ができました。注文住宅の総予算の内、その金額は大したことないと思われる方もおられるかもしれません。たかが15万円、されど15万円です。他の部分でワンランク上のグレードにアップすることも可能なコストです。サッシのおさまりを異なる目線で捉えることで、見た目も満足できコストダウンすることができるのです。

問い合わせのあったブログ:入り巾木ってなんだ?おさめ方教えます!:https://vico-co.jp/blog/2737/

弊社に関する問い合わせはこちらまで:https://vico-co.jp/contact/

 

 

 

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