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鉄骨はなし?どうなっている?木製片持ち階段の造り方徹底解説

こんにちは、代表の坂本です。
以前、「家づくりを階段から考えてみませんか?」というブログを書かせていただきました。

いろんな形状の階段がある中、反響の大きかったのが片持ち階段でした。リビングに「魅せる階段」として設置される方が多くなってきているのか、雑誌などでもよく目にするようになりました。しかし、製作方法や詳しい解説などはあまり見当たりません。
そこで今回はそんな片持ち階段について施工図、施工例を交えてもっと詳しく説明していきたいと思います。

 

VICO施工 S様邸 片持ち階段

 

前回までの階段関連ブログ

〇家づくりを階段から考えてみませんか? :https://vico-co.jp/blog/412/

〇階段をうまく計画していくコツ教えます :https://vico-co.jp/blog/1449/

〇オススメ!収納付き直階段の造り方・・現場施工までにやるべきこと :https://vico-co.jp/blog/1993

 

厚み64mmでシャープに片持ち階段を仕上げました

片持ち階段とは、片方が壁に固定されもう片方が固定されていない状態の階段のことを言います。
他に、はね出し階段、キャンチレバー階段とも言われているものです。素材としては、鉄骨製、木製、鉄骨+木製の組み合わせ、コンクリート造といろいろな素材で造られた片持ち階段を目にします。
今回お話させていただく片持ち階段は、鉄骨+木製の組み合わせた片持ち階段になります。

木製の片持ち階段だと階段の厚みなど見付け寸法が大きくなり、施工手間もかかります。そこでできるだけ厚みを薄くシャープに見せる木製階段を造るためにはどうすればいいのか?実例S様邸の片持ち階段施工図を元に説明していきます。

設計図をもとに階段の平面、断面図を描いていきます。ここで下地となる柱105*105、間柱45*105、梁105*300を落とし込んでおきます。

 

S様邸 片持ち階段 断面図

 

S様邸 片持ち階段 平面図

 

平面、断面図から、より細かいおさまりがわかるように詳細図を描いていきます。鉄骨芯材と木化粧部材の取り合い、加工寸法を細かく記載します。

鉄骨芯材部材のササラ桁は12*200、段板は12*185*825.5を採用しました。垂れ防止補助材として12*12の角材を2本段板とササラに工場溶接しています。ササラには壁下地に固定するボルト穴も書いておきます。

 

S様邸 片持ち階段 断面詳細図

 

S様邸 片持ち階段 断面詳細図

シャープに魅せる木製階段の裏話

これまでにいくつも片持ち階段を施工してきた経験を踏まえ、S様、VICO、大工さん、鉄骨業者との4者で綿密な打ち合わせをしました。


問題点:
鉄骨芯材、ササラ、段板下地材を現場溶接で行うと手間がかかり現場養生も大変になる。
解決策:工場溶接したササラ、段板下地材を3分割で現場へ搬入して施工することにした。

問題点:当初は木製化粧板の底板部分を厚み6mmで検討していたため、集成材で加工できずに
突板加工となり踏板無垢材との仕上がり感が違ってくることが判明。
解決策:底板を踏板と同材の集成材t15で最小加工することで踏板含め、木部分の木目を合わせることができた。

問題点:当初は踏板を鉄骨下地にビス固定で検討していたため、ダボ栓を施工するのに手間がかかり、
補修跡ができてしまうことが判明。
解決策:鉄骨プレートの裏から踏板を固定できるようにプレートに穴加工、のちに底板、
3方框をフィニッシュで固定することでダボ栓なしで綺麗な段板に仕上げることができた。

以上のように、各業者さんと綿密な打ち合わせを繰り返し、検討することで問題点を洗い出し、当初検討していたものより階段厚みが6mm薄くすることができました。

当初検討していた片持ち階段 断面詳細

 

最終決定した S様邸片持ち階段 断面詳細

 

できました!美しく仕上がった片持ち階段

 

S様邸の片持ち階段 側面から

 

S様邸の片持ち階段 裏面から

 

S様邸の片持ち階段 拡大

  ◇S様邸 片持ち階段の仕様

・踏板、框、底板 :ゴム集成材 オスモクリア

・ササラ桁 :スチールプレート 12*200 3分割

・踏板芯材 :スチールプレート 12*185*825.5  スチール角 12*12

・手摺 :スチールパイプ 32φ 黒皮仕上げ クリア塗装

 

◇価格  ¥830,000 (2015年時点 階段手摺含む)

・鉄骨工事 :¥480,000

・木工事  :¥270,000

・塗装工事 :  ¥80,000

おわりに

私は日ごろから、街中にある美しい建物や他では見ないおさまりの建物を見かけたら写真に撮ったり、HPで検索したり、一体どうなっているのかが気になりその都度調べるようにしています。 日々色々なおさまりについて考えることで、同じモノを造るにしてもより美しく綺麗に仕上げることができると考えております。そうすることで何より、お客様が喜んで下さるので嬉しく思います。 これからも色々なことにチャレンジをしていきたいと思っておりますので、細かいおさまりや究極のおさまり、こだわり等のリクエストがあれば遠慮なくご相談ください。 問い合わせURL:https://vico-co.jp/contact/


                            

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