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こんにちは、代表の坂本です。
今回は皆さんにクイズです。この写真は6年前に弊社が行ったとある一般住宅の新築工事現場の写真です。
基礎工事の風景、コンクリート打設が終わった1枚ですが、通常の住宅工事と異なるところがあります。
それがどこかわかりますでしょうか?
VICO施工 M様邸 基礎工事完了風景
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クイズの答え
基礎工事が終わったところに何か大きなコンクリートの塊がありますよね?このような突出した塊は通常基礎工事の際にお目見えすることはありません。
では一体これは何か?というと、キッチンなのです。
今回は弊社が手掛けた造作キッチン、その中でもっとも挑戦的なコンクリートで造ったキッチンについて話していきます。
お客様はお家造りに拘りをお持ちのご夫婦で、弊社ホームページより問い合わせ頂き出会いました。
弊社では、お家造りのイメージの共有ができるように、お好きな画像を集めるスクラップブック作成をお客様のほうで用意してもらっています。M様ご夫婦は他のお客様のスクラップブックと比べ実に2,3倍の量がありました。
その中で奥様がどうしても採用したいとおっしゃっていたのがコンクリートキッチンでした。コンクリートかモルタル調のキッチンかいろいろ写真を見ながら施工面、費用面含めて打ち合わせを進めていきました。
海外製品のモールテックスという商品が日本でも使われるようになった頃でしたが、コストが高く採用には至りませんでした。最終的に本物のコンクリートキッチンを基礎と一緒に造ることでコストパフォーマンスがよいことがわかり、ご夫婦の強い要望もありチャレンジすることに決めました。
造作キッチンをいくつも製作してきた弊社も流石にコンクリートキッチンは初めてのチャレンジでしたが、今までの経験を生かして製作をすすめていきました。
製作する前の準備がとても大変です
キッチンのサイズ、シンクの位置などは、建物の設計と同時にある程度決めておく必要があります。
一般的にキッチンを施工するタイミングはいつ頃だと思いますか?
意外に思われるかもしれませんが、建物完成の1か月ぐらい前なのです。逆からいうと、細かな仕様の決定などは建物の上棟後でも間に合います。ところがコンクリートキッチンはそういうわけにはいきません。今回はコストパフォーマンスを考慮し、建物基礎コンクリートと同時に施工するためキッチン骨組も一緒に造っておく必要があります。
そのため、建物全体の設計打ち合わせと並行して奥様とキッチンの使い勝手、水栓、コンロ、食洗などの備品関係の仕様などを密に打ち合わせし、キッチン設計図を造りこんでいきました。
建物の設計図に加え、キッチン平面図、展開図とキッチン詳細図、各機器の承認図の確認を終え、機器関係は全て決定していただきました。これらを基に基礎着工前にはキッチン施工図を整えておく必要がありました。
M様邸 キッチン詳細図
キッチンの仕様が決まりいよいよコンクリート施工図の作成です。
今回のコンクリートキッチンは天板寸法2400mm*1200mmと大きなサイズのため、構造事務所にお願いして構造検討を行ってもらいました。ここまで丁寧に検討しているのです。
M様邸 コンクリートキッチン 構造図
キッチンの躯体構造図はなかなか見れるものではありません。基礎伏せ図にキッチンが配置されています。
M様邸 基礎伏せ図
これを基に基礎伏せ図と一緒にコンクリートキッチン躯体図を作成していきました。
M様邸 コンクリートキッチン 躯体図
製作風景を振り返ります
基礎伏せ図とコンクリートキッチン図を基に現場製作にかかります。いざ現場へ!!
基礎工事が進み、ベース、立ち上がり壁の配筋工事が完了しました。
左上にキッチンの立ち上がり部分にあたる壁配筋が見えます
キッチン廻りはコンクリート打ち放し仕上げのためパネコート型枠を使用しました。
シンクやコンロの開口(ヌスミ)型枠、水栓の穴、ボイドのチェックも忘れずに行います。
配筋写真を撮影し記録する様子
いよいよコンクリート打設!一発勝負です。ここで綺麗にコンクリート打てるかで後の仕上がりに影響します。
慎重にコンクリートを流し込み、天端は金鏝押さえで綺麗に仕上げてもらいました。
天端を金鏝で仕上げ完了した様子
コンクリートも無事固まり、型枠脱型できました。ジャンカもなく綺麗なコンクリート塊が出来上がりました。
基礎工事と同時に綺麗に打ちあがったコンクリートキッチン。打ち合わせを密に行い、準備をしっかりしていくことで綺麗に造ることができました。
天板部分のはね出しが大きいため木桟にて垂れ防止処置
キッチン周辺の機器も無事に取付け完了し、最終仕上がったキッチンがこちらです。
VICO施工 M様邸 コンクリートキッチン
M様の家について詳しくは、弊社HPのWORKS「カフェのような落ちつける家」を参照ください。
おわりに
今回はコンクリートキッチンの話をさせていただきました。コンクリートキッチンを造るという、すごく貴重な経験をさせていただいたM様には感謝しております。そして今回、設計監理していただいた一級建築士事務所フレイムの幡本先生の協力もあって、このようなコンクリートキッチンにチャレンジすることができました。
弊社はお客様からの要望に対していかにチャレンジングにかつ正確丁寧に対応するかということを心掛けております。お客様の要望に対しては「できない」ということは言いません。初めてのことでも経験と知恵を振り絞り、どのようにすればできるのかを考え実現へ結びつける。NOとは言わない精神で今後も精進して参りたいと考えております。
一級建築士事務所 フレイム : https://www.flame-planning.com/