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新事実!フローリング=板張り床じゃなかった!

こんにちは、アシスタントの大嶋です。

前回まで、木の種類についてお話させていただきました。

前回ブログURL:木のことを知ってから選ぶインテリア ~ウォールナット編~

家の内装を見たときに、木の部分が大きな割合を占めるのが床のフローリングだと思います。みなさん、フローリングと聞いてまず何をイメージされるでしょうか?家の床に敷いてある木目の板をイメージされる方が多いのではないでしょうか。みなさんのイメージ通り日本では板張りの床をフローリングと言うことが多いです。しかし、調べてみると英語のflooringは”床材”という意味なので、木質系だけでなく畳やタイル、カーペットもフローリングということになるのです。今回初めて知りました!

ではいつ頃から、板張りの床をフローリングと言うようになったのでしょうか。

そもそも、日本=和室、和室=畳なので、いつ頃から板張りの床を取り入れるようになったのでしょうか。今回は歴史をさかのぼってみてみましょう。

 

縄文時代~板張り床の誕生

縄文時代の住居は地面に穴を掘り、柱を立てて屋根をかけた竪穴式住居でした。その時の農耕や狩猟で採取したものを、高温多湿な環境から守って保管するために地面から床を高くして作った高床倉庫が、板張り床のはじまりとされています。初めは倉庫の床が板張りで居住スペースは主に土の上だったので、まだ居住スペースには板張り床は使用されていなかったのですね。今現在で表現すると、フローリング=倉庫用の床ということでした。

 

高床倉庫   Wikipedia引用

平安時代~板張り床の普及

平安時代になると、平安京という都市が作られたことにより人々の間で商売が盛んになっていきました。そのため、商家に合わせた住空間が作られるようになっていきます。それが店舗を併用した住居、町屋の作りだと言われています。土間より高い位置で板張りの床をふんだんに使い始めます。そうすることによって、外と内との境界を作りました。

この境界という言葉も今後の日本の住宅のキーワードになっていきます。

 

町屋    Wikipedia引用

一方、このころから貴族の間で畳が使用されるようになります。まだ出始めの頃なので流通量も少なく、座布団や寝具代わりに畳が部屋の一部に置かれるようになっていきます。絵巻物にも畳が表現されていたりしますよね。

鎌倉―江戸時代~畳敷の普及

鎌倉時代~江戸時代はそれまでの寝殿造から書院造のしつらえが広まっていきました。寝殿造にはなかった、天井が貼られるようになり、建具によって部屋を区画されるようになりました。そこに断熱性を求めて畳が敷き詰められるようになりました。畳のある場所は座る・寝るなどする場所。そして板張り床は移動のために歩く場所となりました。ここにも、境界の役割を持たせていました。武家住宅のしつらえが畳職人の増加に伴い、庶民にも畳が普及していきます。時代劇でもよく見かける造りですよね。

 

重要文化財 竹内家住宅 四万十川観光ガイド引用

明治―戦後~板張りの逆転劇

明治維新以降は西洋の文化の流入によって、板張り床の洋室が造られるようになりました。お客様をもてなす応接間だけ板敷きでしたが、居間にも広がっていきました。

戦後になると、西洋文化がより濃く反映されるようになり、テーブル・椅子の普及によって板張りと畳敷きの比率が逆転していきました。畳の生活のときはなかった、タンス、食器棚、本棚など様々な家具を生活に取り入れるようになっていきました。

 

応接間   文京ふるさと歴史館引用

日本住宅の洋室化で、板張り床の需要が高くなっていき板張り床は、ヨーロッパへ木材を輸出した際出るは材からも作られたとも言われています。しかし木材資源が少なくなり価格も高騰していきました。そこで建材メーカーが開発したのが、表面にプリントや塗装で加工し、木目なども再現したプリント化粧板でした。それをフローリングと呼ぶようになり、板張りの床=フローリングとなっていったのです。

新しい文化を求めて板張りの床が主流になっていきましたが、長い歴史でみれば時代を逆戻りしていっているのですね。現在の若い人たちがフィルムカメラに新鮮さを感じることと同じ感覚だったのでしょうか。

おわりに

今回はフローリングとイコールだと思っていた板張り床についてお話しさせて頂きました。調べると面白いですよね、倉庫用だった板張り床が今は住居の主流となり、貴族間の流行りだった畳が今では減少していっているとは。時代と環境の変化、そして技術の進歩により変わっていくのですね。しかし、その変化の中でも変わらない日本人の文化がありました。それは靴を脱ぐという文化です。西洋文化が入ってきた際もこの行為だけは変わりませんでした。外と内に境界を設けるという考えが染みついていた結果だと思います。そのため、畳も廃れることなく共存しているのだと思います。

個人的には、畳の匂いや腰にやさしいクッション性が好きです。今も畳に布団を敷いて寝ています。また畳が主流になる時代がくればいいなと思います。この先はどんな床が主流になっていくのでしょうか。

VICOヴィーコでは流行りに関係なく、お客様の望む床を施工させて頂いております。中にはあまり床では見かけない材で施工させて頂く事も?!その施工事例については、またの機会にお話しさせて頂ければと思います。

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